会社員時代、営業として働いていた際、経理からよく言われたのが、
「お客様からの入金を確認するまでが、営業の仕事」でした。
担当客先からの毎月の入金確認を始め、4半期ごと・年度ごとには売掛金リストを取引先に送付し、確認をお願いしていたものです。
最初は、入金管理はお金のことだから経理の仕事ではないかと思っていました。
ただ海外の取引先によっては支払い期日通りに払ってこない客先もありました。何度か督促をしたことがありますし、支払いに関する態度で取引先の状況が見極められることもあります。そういった意味で、営業が担当する意味があるんだろうなということは、実感していきました。
国内の取引先であれば、状況を確認に訪問することもできるかもしれませんが、海外の取引先だとそんなに簡単に訪問することはできません。
海外との取引先との決済方法
海外企業との取引においては、日本国内の取引とは異なる貿易取引ならではの決済方法があります。
L/C(Letter of Credit-信用状取引)や、手形取引(D/P、D/A)といった支払い方法です。これらの方法は銀行を介した取引のため、代金未回収のリスクを下げられます。
その一方、国内取引と同様に、銀行間での電信送金(T/T)を利用した決済方法もかなりの割合で利用されます。昨今はWiseのようなオンラインで海外送金ができるサービスも登場し、海外とのお金のやり取りはかなり便利になってきました。
今回は、銀行間での電信送金(T/T)で支払いをしてもらい場合に取引先からお金が入金されなかった場合に行いたいことについて説明していきます。
海外の取引先との支払いタイミングとしては大きく分けて、商品を渡す前に払ってもらう(前払い)か、後に払ってもらう(後払い)があります。
支払いの方法・タイミングに関しては、取引開始前に海外取引先と協議し決めておきます。
代金後払いの場合は、「T/T 30 days from invoice date」(インボイス日から30日以内に電信送金)など、どの起点日から何日以内に支払いをするのかを定めておきます。
代金前払いの場合は、入金されてから出荷するので輸出側のリスクは少なくなります。
一方、代金を商品出荷後の後払いにしている場合は、入金がきちんと期日通りにされるかを確認する必要があります。
期日を過ぎて「入金がない!」と慌てないためにも、つぎの3つのポイントに気を付けましょう。
①支払い期日を過ぎたらすぐに動く
まずは取引相手にメールで支払い状況について問い合わせしましょう。
この時大事なのは、期日を過ぎたらすぐに確認することです。
下記はメールのサンプルです。
海外送金の場合、銀行間の取引の関係で相手が期日内に送金していても、こちら側の銀行で入金が確認できない場合もあります。そのような場合に備え「すでに入金手続きをされた場合は、こちらのメッセージは無視してください。」と入れています。
督促メールサンプル
Title: Invoice overdue
Dear xxxxxx(相手の名前), 
This is to remind you that the following invoice is overdue. 
We request your immediate payment. Please kindly advise when we can expect your payment.
Invoice Date(インボイス発行日):
Invoice No(インボイス番号): 
Invoice Amount(インボイスの金額): 
If you have already arranged a payment, please disregard this email. 
Best regards, 
Your name
たまの1回の忘れであればいいですが、何回も続くようであれば問題です。
こちらが支払期日をきちんと管理しているということを理解してもらうためにも、支払い期日を空けずに連絡するようにしましょう。
また支払い遅延が発生している海外取引先で、未出荷の注文(注残)が残っている場合もあります。
このような場合も、取引先の支払い状況や金額によっては入金が確認されるまでは、出荷を止めましょう。未払い金額をさらに増やさないための措置です。
② 請求書が正しい相手に届くようにしよう
海外の取引先から入金がない、または遅れる時は、相手先の会社の正しい担当者に請求書(Invoice)が届いていない可能性もあります。
過去には営業担当者の手元で止まっており、経理担当者に書類が渡っていないこともありました。
大きな会社ではこのようなことは起きにくいでしょうが、小規模な取引先だとこういった社内の連絡ミスはあり得ます。
経理(支払い)担当者が分かる、かつその担当者に直接メールできるようであれば、Invoiceを含む出荷書類を送付する際に支払い担当者にも入れておくというのも1つの方法です。
③ 支払い条件を見直す
同じ取引先で度々、支払い遅延が続く場合は支払い条件を見直すのがいいでしょう。例えば次のような方法が考えられます。
- 全額後払いをやめ、50%前払い、50%後払いにする
- 1回の注文金額の上限を設定する
- 支払い遅延が改善する状況が見られるまでは、全額前払いにする
相手の与信状況に不安がある際は、信用調査を行うこともできます。
海外取引先の信用調査には、ダンレポートや、クレディセイフといったサービスを使うことができます。取引金額が多額の場合など、利用を検討してみてはいかがでしょうか?
継続的にフォローが必要です
海外との取引においては、取引先を見つける、注文をもらうまでも大変です。
取引先ができると安心してしまいますが、ここから継続的に取引を続けるためのフォローが欠かせません。支払い管理も取引継続のために大切になりますので、手遅れになる前に取引先とのコミュニケーション・対応を行いましょう。
海外取引先との取引・コミュニケーションにお悩みの小規模事業者・中小企業の方へ。長年、海外の取引先とコミュニケーションを取ってきたノウハウと視点で、スムーズに取引できる業務サポートを行っています。
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